その昔、よく使われたEnglish jokeの一つに以下の様な与太話があります。
日本の中小商社で仕入れ担当のマネージャーをしている斉藤さんは、週末の帰宅準備をしている
所にオーストラリアの仕入れ先の一つであるB社のGeorgeさんから電話を受けます。英語が得意
な同僚が既に帰宅していた事もあり、何とか自力での会話を試みた斉藤さんですが一つ不安材料
が残ります。
どうも話の内容からGeorgeさんは来週頭に急遽初めて来日する事になったようですが、成田空港
まで迎えに行こうかと尋ねる斉藤さんに、「モンダイナイ!」と繰り返すばかりなのです。まぁ本人が
拒否するのだから初めての来日とは言え、日本に秘密のガールフレンドでもいて空港に迎えに来ら
れたら困る事情でもあるのだろうと、いつも通り同僚と一杯やって帰宅すると自宅で待ち構えていた
奥方がパニックを起こしながら電話の受話器を手で押さえて何やら泣き叫んでいます。
成田空港の係官からでオーストラリア人の入国者が、迎えに来る予定の「ミスターサイトウが来て
いない。」と訴えているので、直ぐに来てくれというのです。Georgeと斉藤さんの間で、一体どういう
間違いが起きたのでしょう?実はGeorgeは「モンダイナイ(問題無い)」と言いたかったのではなく
Monday night(月曜日の夜に着くよ)と、言いたかったのです。という笑い話です。
暫くの間は初対面のアメリカ人やイギリス人には、このネタを使って笑わせて以降は仕事を円滑に
進めるために、Monday night(問題無い)で行こうぜ!みたいな使い方で場を和ませていました。
勿論、当のオーストラリア人の前では、そういう事は口にしませんが(笑)!
オーストラリア人のAに関する発音が「アイ」に聞こえるのは有名な話で、数字の88などはまるで
アイティーアイトに聞こえますから、1988年になんて説明を聞くときはイライラさせられたものです。
ところが、こういう発音のクセは何もオーストラリアやニュージーランドに限定された問題ではなく
遠い昔に海を渡ってオーストラリアに辿り着いたイギリスにあることが分かりました。
Cockneyと呼ばれるロンドンの下町っ子が使う英語がまさしくそれです。
以前に仕事でコンタクトがあったアメリカのLEDメーカのSales Directorの一人がイギリスの出身
で、初対面の時に私が彼の英語に戸惑っていると、'Toshiro, how long do you speak in a day?'
と聞くのですが、先のモンダイナイではありませんが最後のdayがダイに聞こえるのです。それも
まるで日本語の「台」に近い音なので、何が言いたいのか気付くのに暫く掛かりました。
またその彼と一緒にアメリカ全土及びメキシコに一部移設した工場を視察して回ったのですが、
各地の空港で彼が予約していたレンタカーを借りる際に、係りの人から名前を確認されるたびに、
口の中でモゴモゴ言うので相手が聞き取れずに、スペルを聞かれると'E A T O N'と早口に答え
るのですが、二番目のAがアイとしか聞き取れず益々係りの人が当惑していました。
また別の仕事でコンタクトがあったグループ企業のIT本部があるイギリスの担当者が、まさしく
ロンドン在住でcockneyを喋る人でしたが、お互いにissue listという現場でシステムを使って
起きた問題点と、こちらから要求した改修の問題点を交換して、週末に電話会議で進捗を報告
しあっていたのですが、ある時どうもお互いに見ているlistのversionが違うのではないかという
事に気付き、彼の方から'Toshiro, do you see the latest list?'(敏郎、最近のリストを見ている
かい?)と尋ねてきました。ところがlatestがライテストとしか聞こえないのです。
確かに先頭はLの発音だったよなぁ・・・、とか思いながら最も軽い(明るい)リストって何だだろう?
と、しばし首を捻ってしまいました(笑)。またある時には会議の席で彼が発音するcan'tがcount
に聞こえるのです。暫く話を着ている内に三人称単数が主語の時もcountに聞こえるので、これは
きっと別の単語だろうと想像して話を聞き続ける内にcan'tだと言う事が分かりました。
また所謂「曖昧母音」と呼ばれる、


の発音も英米では大きく異なります。
cat, castle, galleryなどのaの部分をアメリカ人はキャット・キャッスル・ギャラリーの様に、発音
しますが、イギリス人はカハーット、カハーッスル、ガハーラリーみたいに空気を吐き出す感じで
発音します。一度映画でMr. Beanを見た時にイギリスの美術館に勤めるBeanが、アメリカで別の
新しい美術館がオープンする際にGuestとして招待されて、ドタバタを引き起こす話を見たことが
ありましたが、その中でアメリカでのシーンにも拘らず俳優がイギリス人なので、美術館の事を言う
時に、galleryの発音が英国式だったので何となく笑えたものです。
英米の英語について纏めるとすれば、イギリスは極めて日本と似たところのある島国で、しかも
日本と同様に方言が多種多様に存在しています。その中の標準語に近い部分が海を渡ってアメ
リカで広がり、人種の多様性を受けて外来語を広く取り組み今の米国式英語になったものと思われ
ます。一方のイギリスでは昔のまま江戸弁を喋る江戸っ子がいるように、訛りを隠そうともしない
ロンドンっ子も街中にいるということです。こうして考えると英語を学ぶのも楽しくなりますね!